雑記ふたたび

nyanの日記ブログ。主に最近描いた絵や自作小説の話など。

第五回SMD競演・感想

表題の通り、第五回SMD真夏の競演の参加作品の感想です。

競演に関しては以下のサイト様をご覧下さい。

SMD競演 小説作品の投稿|Amebaグルっぽ

 

ネタバレを大量に含むため、未読の方はご注意下さい。

10000文字以内かつ主題を一つ以上入れる制限内で、読む人の心を動かす作品ばかりで驚愕しました。漫画「ガラスの仮面」の話中で即興劇で感動を生むオーディションがありましたが、まさにそんな感じ。読み手が何かを感じる=感動。読者の心を動かす「作品」ばかりです。少なくとも皆様の作品は私の心を大きく動かしました。


と、前置きはこの辺で(^^;。

 

(ネタバレ対処の改行中)

 <続き>

 

『さよならのかわりに』
作:暁  時雨(ナユナユ)様 @BustersKey
最初の鳥居のシーンでお話の流れは想像出来ましたが、最後まで本当に夢中になって読ませて頂きました。場面場面の描写の美しさに、ギュっと胸の奥を掴まれるような印象です。幻想的な夏の切ない恋物語。実体験で悲しい恋との別れをした経験のある方ならば、この哀しくも美しいお話には魅入られると思います。
思い出したらまた涙出てきました^^;

 

『赤き夜の洗礼』
作:唯野誠一様  @tadano_narou
赤い月って見ていると何だか不安になってくるんですが、それがこんな風に具現化したら……怖いですねぇ。起承転結のバランスが素晴らしいからでしょうか、後半に行くに従って、どんどん加速してゆく緊張感が心地良いです。ラブクラフト作品などで感じる、日常の隣に続く闇を偶然垣間見てしまったと怖さですね(>_<)

 

『花』
作:kuroneko様  @sss_s_s_sss
「花に魅入られた」という言葉が真っ先に浮かびました。雨に濡れた花はきっと寂しそうで、それでいて美しいんだろうなと想像。しかしこの主題の花が何なのかがわかった時、ヒロインの台詞が別の意味を持つことにゾクリ。「こ、こわー」と呟いてしまいました。まとめ方がお上手なので最後までスラスラと読み終えたのに、何度も読み返してしまいました。最後の場面はいきなり理不尽なご家族の亡くされた方々というのは、こんな感じだろうかと想像。なんともやるせない場面です。

 

『美し夢』
作:ましの様  @mashino124
泣けました。私は事情あって子供はおりませんが同性ですしね。途中までの主人公の心の痛みに、最後の希望の残した言葉に、涙出っぱなしで数回中断しました。
この話自体が「美し夢」ですよね。女の子の去り際の「パパ」という言葉の先には、きっととても幸せな未来があると信じます。そして脇役のミカさんがとても素敵で優しく強い女性で、こんな方が主人公の側にいてくれたことがとても嬉しかったです。
素敵な二人の女性たちに幸いあれ。

 

『炎の女王サランディラ』
作:天野音色様  @catanri
ファンタジー作品アースルーリンドの物語の一つです。もうイラストの三人がとてもお美しいったら(^^)。作者様の書かれる同じシリーズの他の物語も読まれますと、三倍は楽しめると思います。かく言う私もまだこのシリーズは半分も追いきれていないので、後日もっと世界観やキャラクターについて理解した後に再読させて頂く所存です。
主役二人のやり取りは小気味良い&面白くて夜中に声出して笑ってしまいました。容姿端麗な二人の男性がこんな可愛らしいというか、楽しいやり取りしてるのを想像すると、つい顔がにやけてきます(^^;

 

『la lune bleue』
作:月夜見流菜様  @lunars1127
女性向け(BL)要素を微妙に含む作品につきご注意を。
うう、途中まで読んでる時はハッピーエンドになるんだ……と信じちゃってましたよorz  最初はお母さんが少し嫌な感じな登場していましたが、後半理解者になってくれたのはとても嬉しかったです。お父さんとお医者様は最初からずっと良き理解者で、主人公の辛い時期もずっと暖かく見守り支えて下さるのが素敵。理解あるお父様素敵。
辛い結末ですが、月は欠けてもまた満ちる物。彼にもまた幸せは巡り来ることでしょう。大好きなピアノ弾きながら、素敵な人生歩んで欲しいです。
……今は美しく哀しい恋に想いを馳せるとしても。

 

『京乃闇 夢現
作:明久様  @akihisai1
冒頭から前半部分でお話の趣旨は何となく分かりつつも、夢中になって読ませて頂きました。少しずつ形を変えて繰り返される情景は、モンティ・パイソンの「デジャ・ブ」のスケッチならブラックジョークで済む。でもこれは悪夢。
それから女性の京言葉、素敵です。やんわり優しい響きが最後近くではとても怖く感じるという。主人公は周囲から見るとダメな人かも知れませんが、私には責めることは出来ません。思い出は捨てられない、家族の不在の寂しさ、孤独感、無気力感。何とも胸の痛む描写です。
ラストで「わぁ」と声が出た私は作者様の「してやったり」対象^^;
京都は時々遊びに行くんですが、タクシーを見る度にこのお話思い出しそう。

『バス旅行』
作:田中せいや @sekiyasu1
まず「バス旅行って私も会社から行ったのが最後だなぁ」と冒頭で思いました。バスの中の描写に「あるある」と頷いてみたり、「そのヘルメット付きのソフト欲しいぞ。きっとザボーガー呼びたくなるけどw」なんて感じで、前半はひたすらに楽しく一緒にバス旅行を楽しむ気分で拝読していました。後半の展開。いやいやいや、。気に入らないって程度でこんな危険な体験は絶対に嫌ですからorz  
最後のオチがぴりっと効いてますね。ウィット含みながら、綺麗にまとまったお話って大好きです。

 

『アリスの奇妙なお伽話〜古書堂不思議の国〜』
作:悠木  旭様  @Akira_Yuuki_0
話中の絵本の内容が非常に面白いです。こういう人間の心の闇というか、怖い部分に突っ込んだ話はゾクゾクしてきます。本を手にした主人公がこの後どうしたのか、かなり気になりますね。
古書店を舞台にした物語は漫画も含めて多数読んでいるのですが、この手の店は最後に消えてしまうのはお約束ですね。でも彼(または彼の子供)はアリスと再会出来るんじゃないかなぁと思ってみたり。

『ある夜の出会い』
作:畑本祥光 @crimsonrage999
田舎のない私は、このお話に登場するお祭を含めたノスタルジックな情景に憧れます。純和風でありながらどこか幻想的。主人公くん、ヒロインと出会った後に自分の居場所が分かっても落ち着いているのは凄いです。将来有望なヒーローです。でもヒロインと敵役っぽいキャラに思い切り突っ込まれてたり、最後辺りの何かと大変そうな描写には「頑張れ(^^;」と声かけたくなりました。終盤近く「ヒロイン死んだの?」と思ったのですが、よく考えれば人生全うしていても時間軸的には普通に死んでますねorz<超まぬけ<自分
でも幸せな未来を含んだ結びに、少年時代のひと夏の淡い恋が成就する予感で甘酸っぱくふんわりした幸せ気分になりました。

 

『この世であなたと』
作:長緒鬼無里 @NagaoKinasa
このお話、とにかく大好きです。気がついたら何度も読み返していました。大切なことを伝えられない主人公。謎の人物の不気味さ。幾つかの伏線を含めながらも分かりやすく、それでいてジワジワ危機が迫る緊張感。葛藤していた主人公が最大効果のある場面で言えなかった事をちゃんと伝えて、そこからラストに向かっていく流れ。
ホラー作品なんですが、最初から最後まで暖かな愛に溢れた素敵な作品ですね。この体験を乗り越えた彼らは、この先にも苦難を越えて幸せになって下さると信じます。


『死が二人を分かつまで』
作:ドーナツ @donut_no_ana
最初から最後まで上手いなぁと呟きながら拝読しました。前半の車のシーンで内容予想出来るのにどう進むのかは分からず、原因が見えて来るまでドキドキしっぱなしでした。雨と死人の関係は映画「バタリアン」をちょっと思い出しました。
「生身の人間ってのは幽霊よりずっと怖いよね。」と大昔、あるホラー映画を見た後に友人が言ってたんですが、まさにそんな感じ^^; そして最後の結びが鮮やかで、思わず唸りました。このタイトルも良いです。

 
『呼び声』
作:ナマケモノ様   @a289b995b3ae4bd
のっけから「上手い、面白い」という印象でした。途中の猫ちゃん逃げてーな辺りから、悲惨な展開を想像しまくって少々続き読むのが怖かったのですが。しかし救いのある展開になり、ほっと一息。メリハリのあるお話作りっていうのは、こういうことを言うのでしょうね。兄妹愛、叔母と姪の愛、猫と飼い主の愛、友情。人の縁、そして心は必ずしも一致せず複雑に絡み合う。だからこそ、それを描き出した作品は面白いのでしょうね。